世界遺産 富岡製糸場 8/10(月) 2日目
目覚ましをかけるまでもなく自然に目が覚める。外はすでに明るくなっていた。
(あ~背中が痛い・・・)
普段ベッドなので寝床が変わると体中がギシついてしまう。寝袋だと薄いから余計なんだろう。
隣を見ると山PとY子の寝袋が空っぽだ。
スマフォの時計を見ると6:30を過ぎた所だった。
(もう起きてるんだ)
コテージの外に出るとやや寒い。真夏といえどもさすがに標高1100だと朝晩は冷え込むんだ。
「おはよう」
「おはよー」
2人はすでにコーヒーを飲んでいる。
トイレでスッキリしてくると山Pがコーヒーをいれていてくれた。朝食前にまずは1杯コーヒーをすする。朝の森の空気に包まれて鳥のさえずりを聞きながらコーヒーを飲む。このひとときがたまらなくいい。
しばらくしてA美も起きてきて朝食準備をする。
僕らのキャンプの朝食は殆どパン食だ。今朝は山Pお手製のベーコンサンド。昨日燻製しておいたベーコンを軽く焼いてパンに挟んで食べる。
トマトとレタスをいろどりで添えるとおしゃれなモーニングの完成だ。
国道23号線を北上し、みえ川越ICから伊勢湾岸自動車道を経て中央自動車道の恵那峡SAに向かう。
今回はここが山PとY子の待ち合わせ場所だ。相変わらず山PとY子が先に来てた。
「おそ~い!」
しばし休憩して次の休憩所駒ケ岳SAへ向かって僕たちを乗せた車が高速道路を駆け抜けていく。
1時間ほど走って駒ケ岳SAに到着した。ここは標高784m。日本で8番目に高いサービスエリアらしい。さすがにここまで来ると吹き抜ける風が涼しい。
空も抜けるようなコバルトブルーで雲をつかむように大きく伸びをする。トイレ休憩を取り、車に戻る時に見つけた生トマトジュースに舌鼓を打って出発。次に目指すは美ヶ原高原だ。
この天気では美ヶ原高原からの景色が期待できるのでは、と心躍らせて車に乗り込み僕はアクセルを踏み込んだ。
40分ほど車を走らせ、岡谷ICで降りて142号線を北上し途中からビーナスラインをひた走る。ときおり富士山が顔を覗かせ僕たちを興奮させる。途中の休憩所で中年4人は大はしゃぎで記念撮影。まだまだ旅は始まったばかりだ。
高原に咲く花々やのんびりと草を食べる馬たちを横目に塔を目指して歩いていく。涼しいとはいえやはり降りそそぐ日差しはきつく美しの塔につくまでには涼しい風に吹かれながも十分に汗ばんだ。
遥か彼方に見えていた美しの塔に10分ほど歩いて到着した。
美ヶ原は濃霧になることが多く遭難が多発し、その対策の一つとして霧鐘を備えた避難塔が「美しの塔」となる。
1954年(昭和29年)の秋に高原の中央部に設置され、1983年(昭和58年)に改築された。
高さは約6m、日本で一番大きな文学碑でもあり塔の南面には美ヶ原を愛した自然詩人・尾崎喜八氏の「美ガ原溶岩台地」が、北側には山本俊一翁の顔のレリーフが埋め込まれており、松本の彫塑家、上條俊介氏の作だ。
夏の日差しを浴びて、僕たち中年4人は美しの塔をバックにこのひとときをカメラに収めた。
時計を見るとすでに12時を過ぎている。やけにお腹が空くわけだ。高原の澄んだ風に乗りながら足早にさっき来た道を戻り山本小屋を目指す。店に着くとピークは過ぎたのかさほど混んだ様子はなく、店内の奥の方に席を陣取りピザやそば、ラーメンなどそれぞれが好きなものを注文し空腹を満たす。
腹ごしらもしてここから一気にキャンプ場を目指す。ここからおよそ90分の道のりだ。満腹になったが故に睡魔との戦いにもなるだろう・・・
チェックイン
国道142号線を北上し、途中で県道に入りさらに北上する。18号線に交差する所で東に進むとスーパー「マツヤ」がある。ここで今夜のバーベキューの食材などを購入しキャンプ場への山道を進んでいく。
今回のキャンプ場は住所ではナビゲーションされないとの事なので緯度経度で設定して走っていったが何かおかしい。そして目的地に着いた所が山の中。
(まずい、迷った)
来た道を少し引き返した所で現地の人に出会う事ができた。
「すいませーん」
すかさず呼び止め道を聞いた所、看板を見逃していたらしい。教えてもらった所まで引き返すとちゃんと看板が立っていた。こんな大きな看板見逃すとは・・・
ここから10分もかからずにキャンプ場に着いた。とても綺麗に整備されていて管理棟もおしゃれな山小屋風だ。ここは24時間管理人さんが常駐しているのでこの山小屋に住んでいるらしい。
管理人さんから丁寧な注意事項やら説明を聞きチェックインを済まして今回お世話になる僕たちのキャビンへと向かう。
さあ、4泊5日のロングキャンプの始まりだ。
バーベキュー
テントを張る必要は無いが、スクリーンテントは必要なので早速4人でスクリーンテントの設営をする。
いつもなら、それぞれのテント2つとスクリーンテントを設営する為2時間近くかかってしまうが今日は1時間くらい。
「これだけ楽だと来年もバンガローだねぇ」
A美がつぶやく。
撤収の時には更にこの思いが強くなるとは4人は全く思っていなかった。
スクリーンテントの設営を終え一息してから夕飯の準備に取り掛かる。
今宵の夕飯はお決まりのBBQだ。毎年そうだが今年もY子に名古屋から肉を買ってきてもらっていた。やはりスーパーの肉よりは格段に美味い。しかも国産だ。
炭の火起こしは山Pが担当。スターターを使うのでとても簡単に火がつく。僕はその間にランタンの準備をする。
陽も落ちてあちこちのサイトのランタンの火が灯る。僕たちのサイトのランタンにも火を灯すとコンロの上の肉や野菜たちも更に美味そうに見える。
20時過ぎにはバーベキューも終え片付けてシャワーを浴びる。
ここのキャンプ場にはお風呂がないので4日間シャワーとなる。まぁいつもシャワーだから問題ないが・・・
シャワー室から出て空を見上げた。
今にも降り出しそうな星たちをちりばめた満天の星空を見ることができた。
(きれいだ。吸い込まれそう)
都会では見ることのできない異次元の世界。
このひとときもキャンプをやめられない理由のひとつ。
ポカンと口を空けながら首が痛くなるほど星空を仰ぎ見て寝袋に潜り込んだ。
走行距離約300km。久しぶりにこんなに走ったので今夜はぐっすり眠れそうだ。
to be continue...